映画『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』の舞台となった中つ国。その風景のほとんどは、ニュージーランドの実在の場所で撮影されました。撮影地は150ヶ所以上にのぼると言われ、国全体が「聖地」と呼べるスケールです。とはいえ、すべてを回るのは現実的ではありません。この記事では、ファンなら外せない代表的なロケ地を北島・南島に分けて整理し、限られた日数で効率よく巡るためのモデルコースまでご案内します。
北島ルート:ホビット庄からモルドール、そして製作の心臓部へ
北島は「物語の始まりと終わり」を体験できるルートです。ホビット庄、モルドール、そして映画製作の拠点ウェリントンが一本の線でつながります。
ホビトン(マタマタ)=ホビット庄。フロドとビルボが暮らしたホビット庄のセットが、マタマタ近郊の牧場にそのまま残されています。緑の丘に並ぶホビット穴、パーティーツリー、グリーンドラゴン亭——映画の世界がそのまま広がる、NZロケ地巡礼のハイライトです。ガイドツアーは大人$130(2026年8月時点)。詳しい行き方やツアーの種類はホビット村(ホビトン)完全ガイドにまとめています。
トンガリロ国立公園=モルドール/滅びの山。北島中央部にそびえるナウルホエ山は、指輪が投げ込まれるべき「滅びの山」のモデルとなった火山です。荒涼とした火山地帯の景観はまさにモルドールそのもの。人気の日帰りトレッキングコース「トンガリロ・アルパイン・クロッシング」を歩けば、フロドとサムの気分で火山の裾野を進むことができます。本格的な山歩きになるため、装備と天候の確認は入念に。
ウェリントン=映画製作の拠点。首都ウェリントンは、ピーター・ジャクソン監督の本拠地であり、三部作が生み出された街です。武器や小道具、特殊効果を手がけた工房を見学できるWeta Workshopツアーは、ロケ地とはまた違う「舞台裏」を覗ける貴重な体験。工房のあるミラマー地区は映画産業が集まるエリアで、散策するだけでも映画ファンには楽しい場所です。
南島ルート:ローハンの草原と山岳絶景
マウントサンデー(カンタベリー)=エドラス。ローハン王国の都エドラスが築かれたのが、カンタベリー地方の草原にぽつんと立つ岩山マウントサンデーです。セット自体は撮影後に撤去されましたが、360度を山に囲まれた草原の真ん中に立つと、王宮メドゥセルドから眺めたあの風景が広がります。アクセスは未舗装路が続くため、ツアーに参加するか4WD車で向かうのが基本です。
ワナカ・クイーンズタウン周辺。南島南部の山岳地帯にも撮影に使われたと言われる場所が点在しており、ロケ地を巡る現地ツアーも催行されています。どの谷がどのシーンかはツアーガイドの解説で確かめるのが確実で、絶景ドライブと組み合わせて楽しむのがおすすめです。詳細は各ツアーの公式サイトで確認を。
モデルコース:日数別の巡り方
- 3〜4日(北島集中):オークランド→ホビトン→トンガリロ国立公園→ウェリントン(Weta Workshop+ミラマー地区)。物語の流れに沿って「ホビット庄からモルドールへ」を体験できる王道ルートです。
- 1週間(北島+南島ダイジェスト):上記ルートのあと南島へ渡り、カンタベリー方面でマウントサンデーのツアーに参加。
- 2週間(完全巡礼):北島ルートを丁寧に回ったあと、南島をワナカ・クイーンズタウンまで南下。ロケ地ツアーと絶景ドライブを組み合わせれば、中つ国を縦断する旅になります。
撮影地は150ヶ所以上あるため、全制覇を目指すより「思い入れのあるシーンの場所」を軸に組むのが満足度の高い巡礼のコツです。
無料で行けるロケ地もある
ロケ地巡りはお金がかかると思われがちですが、無料で楽しめる場所もあります。代表格がカイトケ地域公園=リベンデル。ウェリントン近郊にあるこの公園は、エルロンドの館があるエルフの都リベンデルの撮影地で、入場は無料です。森の中には撮影ポイントを示す案内があり、ピクニックがてら気軽に「エルフの森」を歩けます。ウェリントン観光と組み合わせやすいのも魅力です。
また、トンガリロ・アルパイン・クロッシングも入山料は不要(交通手段の手配は別途必要)と言われており、体力さえあれば「モルドール踏破」は低予算で叶う巡礼です。
リベンデルことカイトケ地域公園には、エルフの門のレプリカが立っています。入場無料でこの雰囲気が味わえるとあって、地元ではLOTRファンの結婚式スポットとしても人気なのだとか。エルフの森で永遠の愛を誓う——ファンにはたまらないシチュエーションですね。
巡礼前に知っておきたいこと
- ホビトンのような人気ロケ地はツアー予約が基本。日程が決まったら早めに公式サイトで押さえましょう。
- マウントサンデーなど郊外のロケ地は公共交通ではアクセスできない場所が多く、ツアー利用かレンタカー(場所により4WD)が前提です。
- トンガリロなど山岳エリアは天候の急変に注意。現地の気象情報を確認してから歩きましょう。
ニュージーランドの旅は、ファンでなくても絶景の連続ですが、映画を観てから訪れると景色の解像度が一段上がります。出発前に三部作をおさらいしておくのが、いちばんの旅支度かもしれません。
料金・制度は変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。
